あらかわ歯科

親知らずは生え方によっては腫れや痛みが生じたり、歯並びに影響を及ぼしてしまったりすることもあります。その場合は抜歯が1つの選択肢になりますが、中には親知らずを抜歯しなくてもいいケースがあるようです。今回は東京都荒川区新三河島「あらかわ歯科」院長 西野潤先生を取材。親知らずの抜歯が必要になるケースや抜歯するのにおすすめのタイミングなどについてお話を伺いました。


1本の親知らずが歯並びや口腔内環境悪化の原因に

親知らず治療における「抜く・抜かない」の判断軸とは

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──親知らずの悩みを抱えている方は多い印象です。あらかわ歯科にも相談に訪れる方が多いですか?

「親知らずを相談されに来る」というよりは、他の治療を進める中で相談されるケースが多いと思います。痛みを感じで来院される方や「親知らずの影響で歯並びが変わった」という方も。

──親知らずが歯並びにも影響するのですね。それは親知らずの生え方によるものでしょうか?

親知らずの生え方も歯並びに悪影響を及ぼす大きな要素です。ただしまっすぐ生えても、スペースが足りずに歯並びが悪化することもあります。

──歯並びに影響を及ぼしたり痛みがなかったりする場合は、親知らずを抜く必要はないのでしょうか。抜く・抜かないの判断基準を教えていただきたいです。

親知らずを抜く必要が出てくるのはブラッシングがうまくできない状態ですね。親知らずに歯ブラシが届かずしっかり磨けないと、口腔内全体の環境が悪化する原因になることも。一方まっすぐキレイに生えた親知らずで、ブラッシングも問題なく行え、噛み合わせにも悪影響を及ぼしていないのであれば、抜く必要はないでしょう。むしろ残しておくことで、将来他の歯が抜けた際に移植できる可能性があります。

親知らず抜歯後の腫れは治癒が進んでいる証拠

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──私は過去に親知らずを抜歯したことがあるのですが、予想以上に腫れて驚きました……。

下顎で横向きに骨に埋まっている場合は腫れますね。抜歯後おおよそ1週間は腫れが続くと考えておきましょう。

──親知らず抜歯後に腫れる原因は何ですか?

親知らずは骨に埋まっていることが多いです。ですから抜歯の際は骨を削ることも。それが腫れる原因ですね。骨が硬い下顎に埋まった親知らずを抜く際は、特に腫れると覚悟してもらったほうが良いでしょう。ただ腫れるのは治癒している状態ともいえるので、腫れを抑えればいいわけでもありません。

──「親知らずの抜歯は腫れるもの」を思っておいたほうがよさそうですね。抜歯は診察を受けた当日中に実施するものですか?

状況によって異なります。ただ、親知らずで相談に来られる大半は腫れや痛みが生じています。ですからまずは投薬によって腫れ・痛みを抑えるところから始めることが多いですね。

──抜歯後の腫れを早く引かせるために気をつけることはありますか?

基本的に自己判断よりもまず歯科医師まで相談していただくのが大前提です。そして何より、腫れている患部を触らないのが一番ですね。あと注意していただきたいのが、腫れている部分を冷やしたり温めたりすること。治癒を遅らせてしまう可能性がありますので気をつけてください。もちろん冷やしたほうがよいときもありますが、それも都度歯科医師まで相談してくださいね。

──私は治療後、患部が気になって舌で触れてしまっていたのですが、それは避けたほうがいいということですね……

そうですね。それはやめたほうがいいです(笑)。

親知らずを抜歯するならできるだけ早く治療を開始して

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──「親知らずを抜くならこのタイミングで」というおすすめの時期はありますか?

私が1つおすすめしたいのは20歳前後のタイミングですね。その理由は以下の3つです。
・歯根ができる前に抜歯したほうがスムーズ
・年齢を重ねると骨が硬くなり治療の難易度が上がる
・社会人になる前のタイミングなら治療期間を確保しやすい

──確かに社会人よりも学生のほうが時間的余裕もありますね。

あとは女性の場合、子どもができるタイミングについても考える必要があります。妊娠中や授乳中は薬が飲めないこともあるでしょう。ですから親知らずは「治療するならできるだけ早く」がおすすめです。

──社会人になってから親知らずの治療を受ける場合、何か気をつけるべきことはありますか?

できれば治療後1週間は安静にできるほうがよいですね。かといってお盆休みや年末年始は歯科医院が休診してしまうのでおすすめできません。抜歯後も腫れが続く際、相談できなくなってしまうので。

親知らず治療後のメンテナンスは必須

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──親知らずの治療における注意点はありますか?

「抜いたら終わり」ではないことを理解していただきたいです。患部の炎症の有無や周辺の歯への影響を確認するため、メンテナンスを受けなくてはなりません。

──親知らずの治療といえば抜歯のイメージが強いですが、治療後のメンテナンスも重要なのですね。

親知らずで隠れていた虫歯が見つかるケースや、抜いた部分の歯周ポケットが深いケースもあります。親知らず1本抜いただけでお口の中全体が健康になるわけではありません。治療後も引き続きメンテナンスで状態をチェックしていきましょう。

──私が親知らずを抜歯した際は「数日は体を動かさないように」と言われました。これには何か理由がありますか?

親知らずの抜歯後は体を動かす以外に飲酒・入浴なども注意しましょう。なぜなら親知らずを抜歯したあとの出血はかさぶたができることで止まるからです。そこで運動・飲酒・入浴で血流が良くなってしまうと、いつまでもかさぶたができない原因になります。

──親知らずの治療を受けるかどうか悩んでいる方の中には、痛みについて気にされている方が多い印象です。

当院は抜歯の前段階の検査で歯科用CTを用いたり、実際の治療では「超音波骨切削」を用いて骨を削ったりしています。これにより正確な診断につなげ、出血や痛み、歯の神経損傷のリスクを抑えます。完全に痛みをなくせるわけではありませんが、できるかぎり軽減することを目指していますね。

親知らずは必ずしも抜歯して治療するわけではない

「親知らず=抜歯しなくてはならない」というわけではなく、状態によってはそのままにしておいて移植に使うケースもあることがわかりました。一方でブラッシングが届かない親知らずの場合、お口の中全体が虫歯になりやすい環境になることも。あなたも親知らずが気になる場合は一度かかりつけの歯科医院に相談し、抜歯が必要かどうか判断してもらいましょう。

▼取材協力
あらかわ歯科 西野潤院長
医院住所:〒116-0012 東京都荒川区東尾久1-1-2
医院電話番号:03-6458-2258
医院詳細情報:https://www.shika-town.com/a00002066
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