さかえ歯科

舌を噛んだとき、皆さんはどう対処していますか? 舌を噛んだ傷口から出血した場合、血の味が気になるからといってうがいをしてしまっていないでしょうか。今回は東京都大田区「さかえ歯科医院」の院長榮健臣先生にインタビューを実施。舌を噛んだときに行うべきことや避けるべきこと、口内炎が発生したときの対処法について伺いました。


舌を噛んだ傷口から出血した場合、うがいはNG

舌を噛んだときに考えらえる原因とは

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榮先生によると、舌や頬を噛む主な原因には以下の3つがあるそうです。

・歯並び、噛み合わせ
・顎の調子
・被せ物の形状

頻繁に舌や頬を噛む場合、以上の中でも噛み合わせに問題がある可能性が高いのだそうです。またこのほかにも、新しい被せ物や義歯が舌を噛んでしまう原因になり得るとのこと。
噛み合わせや被せ物の形状については、自分自身ではわからない部分が多いでしょう。ですから「最近になって頻繁に舌を噛むようになった」という場合は、1度歯科医院でチェックを受けるのをおすすめします。

舌を噛んだとき、ストレスについても考えるべき?

舌を頻繁に噛む要因として、ストレスが挙げられることがあります。しかし榮先生によると、ストレスが直接舌を噛む原因になることはないとのこと。
一方で過度なストレス状態にある場合、それに抵抗するために舌を噛む癖がつくこともあるそう。あるいはストレス発散のために行う歯ぎしりによって、噛み合わせや歯の形といった口の中の環境が変わり、間接的に舌を噛む要因となるケースはあると説明されていました。
また、私たちは食べ物を噛む際、自分なりの噛むリズムを持っているのだそうです。何かの拍子にそのリズムが崩れることによって、舌や頬を噛んでしまうケースもあるようです。

舌を噛んだ傷口から出血した場合、まずは行うべきは「止血」

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舌を強く噛んでしまった場合、出血することもあります。舌や頬などには毛細血管が多く通っており、強く噛めば噛むほど出血するリスクは大きくなります。では舌や頬から出血した場合はどう対処したらよいのでしょうか。
榮先生にお話を伺ったところ「まずは止血することが最優先」とのこと。逆に避けるべきは、血の味が気になるからと「うがいをしてしまうこと」だそうです。うがいをすると、止血どころか血が止まりにくい状況を作り出してしまいます。

舌や頬を噛んだ場合の止血方法

舌や頬から出血した際の止血法は、以下の通りです。

・まず手を綺麗に洗って清潔にする
・清潔なガーゼ(ティッシュ)を使い、傷口をつまむように押さえる

この方法で止血できれば、基本的には問題ないとのこと。しかし傷口が深い場合は化膿のリスクが伴うようです。歯科医院を受診したほうがいいかどうかは、2〜3日経っても傷口か痛むかどうかで判断しましょう。榮先生によると、2〜3日経っても傷口が痛む場合は、すぐに歯科医師の診察を受けたほうがよいとのことです。
傷口の状態によっては、歯科医院で縫合が施されることも。しかし味覚に影響を及ぼすほどの症状が出る可能性はまずないでしょう、とのことでした。

舌を噛んだあとにできた口内炎はどう治すべき?

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舌や頬に口内炎ができていると、そこを繰り返し噛んでしまうこともあります。そこで今回は榮先生から口内炎についてもくわしく伺いました。
そもそも口内炎の原因には、食生活の乱れやストレスなどによるホルモンバランスの崩れ、薬の副作用といったものが考えられます。ですからまずは日常生活の見直しが大切といえるでしょう。一方、舌や頬を噛んでしまい、その傷口から口内炎ができることもあります。
そんな口内炎を治す方法の一つとして知られるのが市販薬の使用でしょう。しかし榮先生によると、ドラッグストアなどで購入できる口内炎の市販薬は、一般的に効果が薄いとのこと。ですから市販薬を使うのは応急処置としたほうがよいのだそうです。
口内炎をしっかり治すのが目的であれば、やはり歯科医院を受診したほうがよいとのこと。榮先生によると、歯科医院で処方される口内炎の治療薬にはアフタゾロンやデキサルチンといったものがあり、これらは市販薬より効果が高いのだそうです。

口内炎治療の新たな選択肢「レーザー治療」

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歯科医院における口内炎治療では、レーザー照射による治療を行うことも可能だそう。レーザー治療は自費診療のため、料金は歯科医院によって異なります。「さかえ歯科医院」の場合、小さい口内炎であれば500円程度でレーザー治療を行えるのだそうです。
榮先生によると、「レーザー治療を受けた場合、口内炎の痛みはその日のうちにかなり緩和される」とのこと。傷の完治も2,3日ということで、口内炎の治療の新たな選択肢として取り入れたいですね。気になるのは治療後の過ごし方ですが、特段日常生活で注意すべきことはないようです。強いて挙げるなら以下の2点に気をつけるべき、とのことでした。
・食事の際、刺激物を避ける
・アルコール入りのうがい薬を避ける
口内炎のレーザー治療にはそこまで時間がかからないのもメリットで、榮先生によると「カウセリングから15分程度で完了する」とのことでした。

レーザー治療の課題は認知度と普及率の低さ

口内炎の魅力的な治療法といえるレーザー治療ですが、現在のところ知名度が低いことが課題として挙げられます。またレーザー器具は非常に高価。そのため完備されていない歯科医院も多く、「口内炎にレーザー治療を行う」と聞くと、怖いイメージを持たれる患者さんも少なくないのだそう。
榮先生によると、特に子供の場合はレーザー治療を非常に怖がることが多く、まだ施したことはないのだそうです。ただ、近年はレーザー器具の価格が徐々に下がってきており、保険適用となるレーザー治療も。そのため、今後はレーザー治療を導入する歯科医院の増加が期待できそうです。

舌を噛んだ傷口がずっと痛むなら、近くの歯科医院へ相談を

「舌を噛んだ・口内炎ができたくらいで歯科医院へ行くのは面倒」と考える方も多いでしょう。しかし、「たかが口内炎」と考えていたものが、実はがんだったというケースもあるのです。特に口の中にできる口腔がんは、歯科の定期検診で発見できることも珍しくありません。もし、現在「よく舌を噛んでしまう」「口内炎がなかなか治らない」といった悩みがあれば、1度かかりつけの歯科医院に相談してみましょう。

▼取材協力・記事監修歯科医師
さかえ歯科医院 榮健臣院長
さかえ歯科医院
2016年2月に「さかえ歯科医院」を開業。日本障害者歯科学会、日本歯科医師会、東京都歯科医師会、東京都大田区蒲田歯科医師会に所属する。

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