いしかわ矯正歯科

近年若い女性を中心に人気のある「マウスピース矯正」。歯列矯正治療でまず選択肢に挙がる「ブラケット矯正」とは異なり“目立ちにくい矯正治療”として注目を浴びています。しかし今回取材した神奈川県川崎市「いしかわ矯正歯科」院長 石川剛先生によると「マウスピース矯正は向き・不向きがあります」とのこと。ではどういった場合にマウスピース矯正が適しているのでしょうか。日本矯正歯科学会認定の矯正歯科専門医である石川先生にインタビューを実施し、歯列矯正治療の種類や治療を受ける上で大切なポイントを伺いました。


ブラケット矯正だからできる治療もある

歯を大きく動かす治療は「ブラケット矯正」をまず検討して

いしかわ矯正歯科

──矯正治療を受ける場合、矯正歯科医院と一般歯科医院とでは受けられる治療の種類が異なるのでしょうか。

矯正歯科医院と一般歯科医院とで矯正治療の種類が異なることはないと思います。それよりも先生よって治療方針に差が出るのではないでしょうか。

──石川先生が考える「患者さんにとってメリットが大きい矯正治療」とは?

私としては、ブラケット治療はメリットが大きいと思っています。ワイヤーを使って綺麗な歯列を実現できますね。もちろんマウスピース矯正でも少し歯を動かす範囲なら問題ないでしょう。

──ブラケット矯正は、矯正治療の中ではもっともスタンダードなイメージです。

歯を抜くなどして大きく歯を動かす必要がありそうなら、まずブラケット矯正を検討してほしいですね。

──以前、歯科タウンの姉妹メデイア『Ha・no・ne』でアンケートをとったところ、矯正治療の1番人気はマウスピースでした。

マウスピース矯正は向き不向きがあります。もちろん部分矯正など歯を少しずらす程度でしたらマウスピースでも問題ないでしょうが、ダイナミックに動かす場合は向きませんね。

──患者さんの歯並びの状態による、と。

あとは性格もあるかもしれません。マウスピース治療は非常に根気がいりますので。

──根気とは?

マウスピース矯正では1〜2週間でマウスピースを取り替える必要があります。そして歯列を大きく動かす場合は、100個以上のマウスピースを使用します。つまりその膨大な量のマウスピースを取り替える度に、歯科医院に通わなければならない。1度でもサボると1からやり直しになってしまうんですよ。

──たしかにそれはかなり根気がいりそうです……

「それでも問題ない」と患者さんがおっしゃるのであれば、大きく歯列を動かす場合でもマウスピース矯正で対応することは可能です。いずれにせよ、まずは歯科医師にメリット・デメリットも聞いた上で慎重に治療方針を決めてほしいですね。

ブラケット矯正に代わる治療には歯の寿命を縮めるリスクも

いしかわ矯正歯科

──歯列矯正は本当に根気のいる治療だと感じます。

そうですね。一般的に2年程度はかかるものです。ただ、患者さんのお口の状態にもよりますので、まずは相談していただきたいです。

──2年も……そうなるとセラミックの被せ物を被せるセラミック矯正が魅力的に見える人も多いと思います。短期間で治療が可能ですよね……

セラミック矯正や最近流行りの歯を削る「スピード矯正」のような治療は、一般的な矯正治療と比較して治療期間が短く済むのは間違いないです。ただしアクシデントがあるのも事実なので、私は積極的にはおすすめしていません。普通の矯正治療を行う際も、周囲の歯とのバランスをはかるためにわずかに削ることもありますが。

──やはり「治療期間を短くしたい」という理由で安易に歯を削るのはあまりよくないのでしょうか。

そうですね。できるだけ避けていただきたいです。
セラミック治療での「歯を削る」「神経を抜く」といった施術が歯に大きなダメージを与えるのは確実です。歯の寿命も縮まってしまうでしょう。
一方で一般的な矯正治療の場合は基本的に歯を削ったり神経を抜いたりはしませんので、治療が終われば健康的な歯を保てるメリットがあります。

矯正治療中も完了後も患者さんの協力が不可欠

いしかわ矯正歯科

──歯列矯正治療を行う上で、私たち患者側が気をつけるべきポイントはありますか?

患者さんにも積極的に治療に協力していただきたいですね。

──具体的には……?

例えば矯正治療中もしっかりブラッシングをする、マウスピースの装着時間をしっかり守る、などですね。患者さんの協力なしでは、スムーズに矯正治療が進みません。

──たしかにその辺りは歯科医院側がコントロールしにくい部分です。

「歯列矯正治療をする」と決められたのであれば、全面的に治療に協力していただきたいです。また矯正治療が終わったあとのメンテナンスももちろん重要です。

──せっかく歯並びが綺麗になっても虫歯や歯周病になれば元も子もないですもんね。1つ気になるのですが、一旦矯正治療が完了して歯並びが整ったあと、また元に戻ってしまうこともあるのでしょうか。

リスクとしてはありますね。子供の頃に矯正したものが、成長するにつれて顎の状態が変わったり、親知らずの影響で口の中の状況が変わったりして戻ってしまうケースがあります。もちろん子供の頃の矯正でなくても起こり得ることですから、定期的なメンテナンスは続けていただきたいです。

ブラケット矯正もほかの矯正治療もメリット・デメリットはある

歯列矯正治療でもっともメジャーといえるブラケット矯正。「目立ちやすい」などの理由で特に若い女性は苦手意識を持つかもしれませんが、ブラケット矯正が適した治療もあります。また目立ちにくい矯正として注目を浴びるマウスピース矯正やスピーディーな治療が実現できるセラミック矯正には、いずれもデメリットがあることもわかりましたね。何よりも重要なのは、いずれの矯正治療もメリット・デメリットを把握した上で選択すること。まずはかかりつけの歯科医師に歯並びについて相談することをおすすめします。

▼取材協力・記事監修歯科医師
いしかわ矯正歯科 石川剛院長
いしかわ矯正歯科
1994年に「いしかわ矯正歯科」を開業。日本矯正歯科学会 矯正歯科専門医の資格を持ち、海外の矯正歯科学会にも所属。鶴見大学歯学部、新横浜衛生士学院の非常勤講師を務める。

医院住所:〒210-0005 神奈川県川崎市川崎区東田町5-3 ホンマビル2F
医院電話番号:044-200-8374
医院詳細情報:https://www.shika-town.com/d00000173
医院HP:https://www.dr-ishikawa.jp/