土屋賢司先生にインタビュー

今回は、株式会社フリーセルのライターがSJCDインターナショナル常任理事である「土屋歯科クリニック&works」の土屋賢司先生に審美歯科についてインタビューさせていただきました。


/images/pages/feature/dr_tsuchiya01.jpg

 

ライター

SJCDのコンセプトである「インターディシプリナリーアプローチ(※1)」についてお伺いしますが、他院の審美歯科でも「総合的な治療を行う」という考え方は広まってきているかと思いますが、先生が特に重要だと考えていることはなんでしょうか?

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya02.jpgドクターは、患者さんが抱える問題の原因がなんなのかが見えなければなりません。そうでないと治療のゴールが見えない。大事なのはゴールですから。これは昔からSJCDが言い続けていることで、ゴールをしっかり見据えるために「診査・診断・治療計画」をしっかりすることが大切なんです。
   
歯を治すときは、「なぜ悪くなったのか」を総合的な見地からチェックして問題点を浮き彫りにすることが大切。だから、審美歯科といっても見た目を良くするだけではダメだし、逆に機能だけで見た目が整っていない、という状態もダメなんです。両方備わっていることが重要なんですね。 

ライター

なるほど。歯の見た目の話だと「歯の黄金比率(※2)」というものがありますが、あのような形にすることで機能面も向上するものなんでしょうか?

 

土屋先生

そうですね。見た目の良さと機能性は、実はおおむね合致するんです。黄金比率は自然界の中でも「心地良い比率」だと言われていますが、その比率で上下の歯が揃っていると、見た目が整うだけじゃなくて必然的に機能も整うようになっています。上下の歯それぞれに「黄金比率」があるわけですが、その比率を上下の関係を考えながら整えてあげると、自然と噛み合わせもうまくいくんです。

ライター

まさに「機能美」といった感じですね。土屋歯科クリニック&worksでは院内に技工所がありますが、やはり審美面と機能面が整った技工物を作りやすくするためなんでしょうか?

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya03.jpgそうですね。歯科技工士は人の体内に入るものを作っているわけですから、当然ながらいい加減な仕事はできません。だから、技工士はみんな歯科医院に来て実際に患者さんの要望を聞くんです。そうすることで、我々と価値観を共有できる。だからこそ、技工士はできる限り歯科医院と近い距離にいたほうが良いんです。

技工士がその場にいれば、直接そこで歯の色を合わせることができることもメリットですね。手間は省けるし、患者さんだって楽ですし。だから院内に技工所があると、かなりプラスなんです。

ライター

それは入れ歯やインプラントだけではなく、プロビジョナル(※3)でも同じなんでしょうか?

 

土屋先生

はい。プロビジョナルに関しても「何が良い形なのか」ということをドクターと技工士とで共有することが大切です。その情報共有ができずに、まったく違う形を作ってしまっては意味がないですよね? プロビジョナルの時点から患者さんに合わせて作ることで、ドクターも患者さんも楽になるわけです。 


/images/pages/feature/dr_tsuchiya04.jpg

 

ライター

インプラントのように手術が必要な治療には、どんな患者さんでも不安を持っているかと思います。先生がそういった患者さんに治療前に伝えていることはなんでしょうか?

 

土屋先生

オペが必要な治療を行う場合は、まず「何を目的として行うのか」をはっきり伝えるようにしています。まずは、その治療が必要なんだとわかってもらうことが大切。あとは、できる限り安全で、患者さんに快適にオペを受けてもらうために、オペ室には滅菌システムのような設備を充実させています。

ただし、あまり「オペ室!」という感じには見えないように工夫していますね。それが患者さんの安心につながるから、患者さんは普段のケアにも来やすくなりますし。あとは、「チーム」で治療を行うことが重要だと考えています。

ライター

医院のパンフレットにも書いてある「チームアプローチ」ですね。

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya05.jpgそのとおり。たとえば、私がインプラントを行うときには麻酔科の先生が来て「セデーション(※4)」をします。これは、痛みはもちろん嫌なことも完全に忘れて治療を受けられるから、すごく評判が良いんです。だから「オペは二度とやりたくない!」って患者さんがいないんです。
   
私と外科医がチームを組んで治療を進めることもあるのですが、お互いの仕事を「ダブルチェック」できることが大きなメリットですね。エキスパートの目があるわけだから妥協したプランは出せませんし、自ずと各担当者がベストを尽くすから、精度が上がって患者さんも安心できる。チームバチスタならぬ「チームツチヤ」ですね(笑)。お互いがお互いを高め合えるのがチームアプローチの良いところなんです。 

ライター

ノーベルバイオケア社製のインプラントを採用しているのも、患者さんの安全を考えてのことですか?

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya06.jpgインプラントにも本当にたくさんの種類があって、素晴らしいアドバンテージを持っているメーカーも多いのですが、私の場合は「自分の口に入れるなら何が一番良いか」という観点と「グローバリズム」で選んでいますね。ノーベルバイオケア社のインプラントは、世界トップシェアという実績があります。これは、たくさんの人をしっかり支えてきたという確かな証拠ですよね。たとえば、自分がインプラントを入れることになったと考えてください。安全かどうかわからないものを入れるのは不安ではありませんか?    

ライター
 
そうですね。異物を入れるわけですし……。

 

土屋先生

だから私はリサーチを行ったうえで、現段階で「もっとも良い」と判断したものを使っています。だから、値段は関係ありません。いくら安くても患者さんに合わなかったら意味がありませんから。もちろん、なぜそのメーカーのものを使うのかも患者さんにしっかり伝えます。

今はノーベルバイオケア社の製品が一番信頼できると思うから採用しているんです。海外では日本のインプラントは入れられませんが、ノーベルバイオケアならどの国でも入れられることもメリットですね。ただ、それ以上の安全性を持ったインプラントが開発されれば、もちろんそちらを採用しますよ。

ライター

インプラントはもちろんなんですが、歯科医療の技術や機器は新しいものがどんどん出てきていますよね?先生はどういった観点で選ぶべきだとお考えですか?

 

土屋先生

 インプラントは非常に顕著ですが、今はメーカーに踊らされてしまっているドクターが多いと思いますね。大事なのは医師としてポリシーを持つこと。いくら新しい治療法や素材が出ても、それまで使われてきたものの安全性が実証されているなら、無理に変える必要はありませんよね?

もちろん、新しい素材を見て「こっちのほうが良い」と感じたら採り入れます。当然ですが、ドクターは自分の目で「良いものは良い、悪いものは悪い」と判断できることが重要ですね。



 /images/pages/feature/dr_tsuchiya07.jpg

 

ライター

先生はさまざまな講習を行っていらっしゃいますが、特に若い先生方に「これだけは伝えておきたい」ということはありますか?

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya08.jpg私は歯科医療とは「匠(たくみ)の世界」だと思っています。確かに歯科医療は「サイエンス」ですが、「ものづくり」をするわけですから職人気質的なところが多分にあるんです。弟子は師匠の技術を真似て……そこに文献は必要ありません。まずは真似る。文献は、その方法が正しいかどうかの確証を得るために使えばいいんです。
   
この世界、一足飛びはないんですよ。素晴らしい講習を聞いたからって、明日から急に技術が上がるわけじゃありません。だから、地道に力をつけるしかない。若い先生方には、まずは良い師匠を見つけて真似をしてほしいと思っています。 

ライター
 
審美歯科について、先生が「この先必要だ」と考えていることはなんでしょうか?

 

土屋先生

「審美」というのは、要するに「見た目」のことですよね? いつの時点の歯が一番キレイなのかというと、治療の直後なんです。ですから、今後は治療直後の見た目を長持ちさせることが大切だと考えています。

ただ見た目だけを整えようとすると、せっかく治療しても一ヶ月後にインレーやクラウンがポロッと取れてしまうことがあります。それはつまり、生物学的にその物質が身体に受け入れられていないということ。「見た目」だけではなく、一年でも長く維持できるもの、身体が受け入れられるものを提供することが大事なんです。

ライター
 
素材に問題がなくても、あまりデンタルIQ(※5)が高くない患者さんだと十分なケアができずに口の中の状態が悪化することもありますよね? そういう場合、先生はどんなことを伝えていらっしゃいますか?

 

土屋先生

/images/pages/feature/dr_tsuchiya09.jpg注意点を伝えるより、まずは「どうしてそこまで悪くなってしまったのか」を聞きますね。それがわからないと根本的な解決につながりませんから。「とりあえず治しましょう」なんて言って治療しても、「なぜ悪くなったのか」を患者さんが理解できていないと同じことの繰り返しになってしまいますよね? 生活習慣とか体質とか、原因はいろいろあるわけですから、まずは原因を把握することが重要です。

ライター

それでも再発防止のためにケアできない方もいますよね?

 

土屋先生

そうですね、ケアできない人は必ずいます。だから私は、必要なケアについては治療中に何度も言うようにしています。要所要所でサブリミナル効果のように繰り返し。あとは、治療にはある程度の費用がかかるということも伝えます。

人って、高価なものほど大切にするんです。100円のビニール傘ってすぐに手に入りますが、ゴミとして捨てられる量も多いんですよね。でも1万円の傘なら誰も捨てない。歯にもそれと同じことが言えますし、そもそも歯は使い捨てできるものじゃありませんからね。審美歯科で得られる歯は私たちの「技術の結晶」だし、「作品」だと思っているから大切にして欲しいということも伝えています。

ライター
 
なるほど……そう言われると、きちんとケアすることの重要性も納得できます。自分で意識して歯を大切にすることが、患者さん側にも求められますね。

今回は、お忙しいなかご協力いただき、ありがとうございました。


※1.インターディシプリナリーアプローチ
……さまざまな角度から包括的な治療を行うこと。
※2.歯の黄金比率
……歯を前方から見た時にもっとも美しいとされる、「中切歯:側切歯:犬歯」の割合が「1.6:1.0:0.6」になっていること。
※3.プロビジョナル
……正式な詰め物やかぶせ物を入れるまでに使用する仮の歯や仮の入れ歯のこと。
※4.セデーション
……静脈内鎮静法。恐怖感や不安をなくす効果を持つ麻酔法。
※5.デンタルIQ
……歯科の知識をどれだけ持っているか、という度合いのこと。

医院名

土屋歯科クリニック&work

千代田区麹町インプラントセンター

住所

東京都千代田区平河町1-4-12

KDX平河町ビル1F

TEL 03-3784-1511
診療時間 10:00~13:30
15:00~18:30


 

ページの先頭へ