おぎはら歯科医院

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、歯科診療にも変化が起きています。もっとも大きな変化として挙げられるのが、初診のオンライン診療の解禁でしょう。今回は5月末から初診のオンライン保険診療をスタートさせた、神奈川県横浜市の「おぎはら歯科医院」理事長 荻原光貴先生を取材。オンライン診療をはじめられた経緯や、オンラインでの初診の流れ、今後のオンライン診療の展望についてお話を伺いました。


受診のきっかけづくりになるオンライン診療

新型コロナウイルスの流行がオンライン診療導入を後押し

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──おぎはら歯科医院で初診のオンライン保険診療をはじめられたと伺いました。開始に至った経緯をお聞かせください。

CLINICS(オンライン診療ツール)に関しては、既に契約していました。ただ、最初は小児や食育など、訪問歯科の開拓のために使うのが目的でした。

──もともとは訪問歯科の開拓が目的だったのですね。

そうです。ただ院内診療のほうが忙しくなり、なかなか訪問診療まで手が回せない状態で、稼働できていませんでした。

──そこからこのタイミングで本格的に始動された。

実際に予約を開始したのは5月末くらいからです。
新型コロナウイルス感染拡大にともない、これからは患者さんの病院選びの基準において「新型コロナウイルス感染対策」が大きく占めると考えました。新型コロナウイルス感染対策の中でもっともわかりやすく、患者さんに安心感を与えられるのが「三密対策」でしょう。
当院では三密対策として、待合スペースを工夫したり、待合スペースに設置したカメラ上でアナウンスしたりしています。その中でもう1つの対策として「院内でやらなくてもできることをオンライン診療で対応して、患者さんの院内の滞在時間を短くする」ということを考えました。

オンライン診療は受診のきっかけづくりにも

おぎはら歯科医院

──今回のオンライン診療導入は、もともと院内のカウンセリングでやっていた内容をオンラインに移行するのが目的なのですね。

あとは「気になっているけれどなかなか受診できない」という患者さんに対して遠隔で対応できるメリットがあると思います。ですから「三密を避ける・受診のきっかけづくり・来院のハードルを下げる」という、主に3つの目的がありますね。

──オンライン診療では治療まではできないと思うのですが、その辺りはどうお考えですか。

そうですね。治療となるとできることは投薬くらいしかないと思います。あとはブラッシング指導や訪問の食事指導。
矯正との相性はよいと思います。インビザラインなどのマウスピース矯正は遠隔に向いている診療なので。矯正関連はオンライン診療の普及で伸びるのではないでしょうか。

オンライン歯科診療を実際に体験

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おぎはら歯科医院の公式サイトに記載されている「オンライン診療受診の流れ」にしたがって、実際にオンライン診療を体験させていただきました。

初診のオンライン診療の流れは以下の通りです。

1. 事前にオンライン診療希望の旨を電話で伝え、予約時間を決める。「再診コード」もあわせて取得する
2. 「CLINICS」アプリをダウンロードし基本情報を登録
3. 「CLINICS」上で、電話で取得した再診コードを入力し、予約した時間で予約
4. 予約時間になるとアプリに接続通知が来るので、接続する
5. 繋がったら名前の確認と症状などのヒアリング
6. 詳しい症状と患部をカメラ越しに診てもらい来院が必要かどうか確認
7. 来院が必要であれば予約希望日を伝える
8. 投薬が必要であれば最寄りの薬局に届くよう手配してもらう

この流れで、約15分程度で診察が終了しました。

おぎはら歯科医院

──「CLINICS」アプリ、実際に使ってみると意外と簡単ですね。オンライン診療の場合、費用はどうなるのでしょうか?

アプリ上で登録したクレジットで決済されます。初診の場合は訪問診療3の点数になるので、もっとも低い金額にはなりますね。

オンライン診療ではどこまで歯の状態がわかる?

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──オンライン診療だとカメラ越しに患部を見ることになります。例えば先ほどのように「歯を見せてください」と先生が言って、実際どこまで症状が分かるのでしょうか。

状況にもよりますね。例えば初期の虫歯は判断が難しいと思います。そうではなく完全に悪化した虫歯や歯茎が明らかに腫れているような場合はわかるでしょう。

──おぎはら歯科医院の公式サイトには「懐中電灯・小さなライトなど」がオンライン診療の準備物として記載されています。実際に「こうやって見えやすいようにしてほしい」など、患者さんにお願いしたいことはありますか?

確かにライトなどがあればお口の中は見やすいでしょうね。ただ携帯電話などのカメラのスペックによっても変わってしまうので……。その辺りは今後テクノロジーがまた発展して、アプリで診断できるものなども出てくるのではないでしょうか。

──確かに、オーラルケアメーカーさんでも、スマホで写真を撮るだけで診断するアプリをリリースされていますね。

そうですね。ですから今後はオンライン診療でもある程度診断ができるようになるのではないでしょうか。ただ難しいのは治療の介入ができない点ですね。遠隔で治療できるようなものが、今後できてくるのかどうか……

──今のところ使い道としては、あくまで最初の入り口の部分、ということでしょうか。

そうですね。それと院内混雑の対策が目的になるでしょうね。

歯科医院におけるオンライン診療の展望

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──先生としては、今後もオンライン診療を続けられますか?

続けていきます。スタッフ研修も終わり、システムが整いましたので。今後はこれをどうやって広げていくかを考えていかなければならないと思います。

──初診の患者様獲得につながればいいですよね。

例えば今は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、人が集まるようなイベントが開催できません。当院では管理栄養士による食育セミナーなどを開催していましたので、そういったイベントを今後オンラインでできたらいいですね。

“お口がちょっと気になるとき”に使えるオンライン診療

おぎはら歯科医院

初診でも可能になったオンライン診療。「お口の中がちょっと気になるけれど、なかなか受診する時間が持てない……」といった場合に、オンライン診療は新たな選択肢となりそうです。現在は治療への介入は難しいですが、今後テクノロジーが発展すれば可能性も広がりそうですね。あなたもお口の状態が気になるのであれば、自宅で気軽にオンライン診療を受けてみてはいかがでしょうか?

▼取材協力・記事監修歯科医師
医療法人 ル・ブラン おぎはら歯科医院 荻原光貴理事長
おぎはら歯科医院
平成19年5月に「医療法人 ル・ブラン(おぎはら歯科医院)」を開業。日本口腔インプラント学会 専門医、口腔医科学会 認定医の資格を持ち、ユニバーサルインプラント研究所(インプラント認定研修施設)の理事も務めている。

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