よく聞く歯科用語~さ行~

「さ」

再石灰化

歯を構成しているカルシウムやリンなどは、虫歯菌が作り出す酸によって溶かされてしまう。しかし、だ液の働きによって溶けた成分が元通りになることがあり、それを「再石灰化」という。

最初期の虫歯であれば、再石灰化によって治癒する。また、毎日のプラークコントロールやフッ素を使用したケアなども再石灰化を促進して虫歯を防ぐ効果がある。ただし、エナメル質まで虫歯菌が達していると、再石灰化で完治させることはできない。

サイナスリフト

インプラント治療はアゴの骨にインプラント(人工歯根)を埋め込むため、骨に厚みがなければ手術ができない。サイナスリフトは、アゴの骨に厚みが足りない場合に骨を作って補う治療法のひとつである。

上アゴの上には上顎洞(サイナス)と呼ばれる空洞がある。サイナスリフトでは、上アゴに厚みが足りないときにこの空洞の粘膜を押し上げ、できたスペースに骨充填剤などを入れて骨の量を補う。

差し歯

重度の虫歯や事故などによって歯を失い、歯根しか残っていない場合に行う治療法を指す。残っている歯根にコアを埋め込み、その上からクラウン(被せもの)を装着する。

保険の場合は差し歯に使用されるクラウンは金属もしくはレジン(プラスチック)になり、審美性はあまり高くはない。それに対して自費診療を選択した場合は、オールセラミックなどを選択できるため、自然な見た目に仕上げられる。

「し」

シーラント

虫歯を予防するために、奥歯にある溝をレジン(プラスチック)でコーティングする処置のことを指す。生えたばかりの奥歯は溝が深いため、特に子どもの虫歯予防に効果的とされている。

また、歯が生えかけの場合はレジンによるコーティングができないため、フッ素を含んだ薬剤を使用して溝を埋める。シーラントはあまり長持ちしないため、予防効果を持続させるためには定期的に処置をする必要がある。

歯周病

プラークに含まれる歯周病菌によって歯肉が腫れ、歯を支えている歯槽骨が溶けてしまう病気のこと。以前は「歯槽膿漏(しそうのうろう)」とも呼ばれていた。自覚症状がほとんどなく、放置すると最終的には歯が抜け落ちてしまうため、毎日のケアや定期検診が重要になる。

日本においては歯を失う原因の第1位として挙げられており、ブラッシングの際に歯肉から出血があったり歯がぐらついたりする場合は注意が必要。

歯周ポケット

歯周ポケットとは歯と歯ぐきの境目となる溝のこと。

歯と歯ぐきの間には、わずかな隙間が存在し、この部分に汚れが溜まると歯周病を引き起こす原因となる。

歯周病が進行すると、細菌により歯槽骨が溶かされ歯周ポケットはさらに深くなっていく。この場合は歯周ポケット内部の汚れを取り除き、炎症を抑える。歯周ポケットを清潔に保つには日々のブラッシングをしっかり行うことが重要である。

歯髄

歯の中心部分にある組織で、歯の神経のこと。歯の痛みの認識や象牙質の生産など重要な役割をはたしている。

細菌に感染した場合でも、免疫反応を働かせることができるが、虫歯によって汚染されてしまうと除去する以外に方法がなくなってしまう。

歯髄を除去した場合は、根管を洗浄して薬剤を詰めてから穴を塞ぐ「根管治療」を行うのが一般的。ただし、神経が死ぬと痛みを感じなくなり、歯の色も黒く変色してしまう。

歯石

口腔内に溜まったプラークが、だ液などによって石灰化して歯にこびりついてしまったもの。プラークと比べて非常に固着力が強いため、ブラッシングではほとんど除去できない。

歯石を放置しておくと歯周病の原因になるため、定期的に歯科医院でスケーリング(歯石を削り取る処置)を受ける必要がある。

自費診療

保険が適用されず、治療にかかった費用の全額を患者が負担するもの。自費診療の場合はすべての費用を自己負担する代わりに治療内容には制限がない。最新の治療を質の高い素材を用いて受けることができる。

自費診療になる治療法や処置としては、インプラントやホワイトニングなどが挙げられる。また、セラミックや金属を使用した治療も自費診療になる。

審美歯科

歯並びの乱れや歯の着色などを改善し、見た目の美しさを得る施術を行う診療科目のこと。一般的な歯科治療は健康や機能性の回復のために行われるが、審美歯科治療はさらに審美性の向上も追及した治療となっている。

歯を白くするホワイトニングやセラミックを使用したクラウン(被せもの)、見た目を改善する歯列矯正など、その範囲は幅広い。歯は美しさがそのまま機能性にもつながるため、審美歯科治療は見た目だけを改善するのではなく機能的にも質の高いものを目指して行われる。

「す」

スケーリング

スケーラーという器具を使って、歯に付着している歯石を取り除くこと。歯石は普段のブラッシングだけでは取れないため、3~6ヶ月に1度は歯科医院でスケーリングを行うのが理想的といえる。

スピード矯正

患者様のニーズに合わせて通常よりも短期間で矯正治療を行うこと。

従来の矯正法に加え、コルチコトミー法・オステオトミー法など、さまざまな治療法を併用して行うのが特徴である。これらの併用によって治療期間が短縮されるが、スピード矯正の技術を持った歯科医師はまだ少ない。

「せ」

セラミック

セラミックでできた歯科材料のこと。耐摩耗性・耐変色性に優れ、天然歯と見た目が変わらないほどの審美性を持つ。保険が適用されず自費診療の対象となる。

「そ」

象牙質

象牙質は、歯の構造である3つの硬い組織の中の1つであり、歯のエナメル質・セメント質の内側にある。エナメル質よりやわらかいが、骨と同じくらいの硬さを持つ丈夫な組織である。

叢生(そうせい)

歯の生える向きが正しい方向ではなく、斜めに生えてしまったり、歯と歯がデコボコに重なり合ってしまったりしている状態のこと。叢生の主な原因は、アゴの発達に対して歯の大きさが合っていないことである。また、永久歯が生えてきているにもかかわらず乳歯が抜けない、などの原因で叢生になるケースもある。

ソケットリフト

インプラント手術前に、アゴの骨の厚さが足りず、そのままではインプラントが埋入できない場合に行われる手術。特殊な器具を用いて、上顎洞の底部を押し上げ骨充填剤を入れ、インプラントを埋入するスペースを確保する。